Timeless
前夜の煌々と輝く高松港の満月
一転して曇り日の直島
天気はその土地の印象を深める
私の直島は冬の曇りの光、そして朝もやと雨音
なんとなく
海底にいるような、地中にいるような
耳が詰まって耳抜きする前の
靄の中にいる感触を残している
一週間を切っても宿も取らずにもたもたしていたけど
運試しに検索したら空いてたのでベネッセホテルに宿泊した。
部屋にはジェームス・タレルの作品があり
部屋の下の階には杉本博司の作品が展示される
自分を取り巻く空気がアートで満たされている楽しさ
贅沢に身をまかせる
部屋から見える海の先に高松のネオンがみえる
ひとりの夜にさびしくなって
ラウンジでハーブティを飲みながら
杉本博司の「現な像」を読み終える
静かでいつもよりずっと長く感じる夜
地中美術館について書かれた本を部屋で読もうと借りたけど
甘すぎるシャンパンにほどなく酔い
眠りにつく
夢の中で一日をふたたび
呼び戻す
はじまりは
LEE UFANの作品
内なる細胞が弾んで喜んで
いくらでもその空間ですごせる
私にとって温泉に浸かるのと同種のものと直感する
広島から仕事の合間を縫って駆けつけてくれた親友との再会は
静かな町に華やぎを与え、久しぶりの再会に照れながらも
いいようのない幸せな時間だった
これまでも人生の節目を共有してきた
思えば一緒にフランスのオランジェリーでモネを見た
沈んでいた記憶がよみがえる
あの時から不思議につながり続ける縁
同じく出逢った中であいまいになくなっていった縁がある中で
それは必然の重なり
こうして思いもかけない場所で
時間を共有できるなど奇跡としか思えないのに
それが起こる必然がお互いを結ぶのだろう
地中美術館はまさに地中に作られて
地底人になった気分になる。
作品を収めた安藤建築はそれぞれの作品に
自然光という最後のエッセンスを加え
一瞬の美を繰り返す
こうなるとどの瞬間も見逃したくないという欲求が
刺激されてしまう
モネの睡蓮
大理石を小さな立方体に切り出し、
角をとったものが敷き詰められる床
履物を脱ぎ、温かみのある感触を感じながら
神殿の先にいるものに
会いに行く
そう感じる荘厳な白い空間
視界の先に現れるモネ
両手を広げても到底足らない大きな作品
真っ白な立方体にぐるりと飾られる睡蓮
誰もいないので座り込んで
くつろいでみる
月夜で見たい。
あいにくナイトプログラムは週末だけらしい。
シーズンオフの良さは、ほとんど貸切で作品を独占できること
だけれど
内藤礼さんの作品はそれがために見れなかったという一面もあり
次回行けるならオフシーズンの週末。
もちろんベネッセホテルと決めている
このほかに
現代アートを体感する至福を味わえたのは
ジェームス・タレルの光を扱う作品
Open Fieldそして南寺
未来に体験する人の妨げにならないように
ここにはなにも書かないでおく
驚かされるのが喜びだから
現代アートは作家の哲学に触れることができ
同じ時を生きるだけに
タイムリーで自然になじむよう
古今東西、どんな時代にも
結局、指向性の似てる人に
反応しいくのだろうから
現代とこだわることもないけど
そういうものにふれるたびにすごく脳が喜ぶのがわかる
杉本博司の「海景」はどの時代においても同じ景色が見られるとしたら
海と空を上下半分に切り撮ったもの
まるでモノトーンのオーラソーマのボトルのように
ただ地平と線
世界各地で撮られた景色
太陽も鳥も船も何一つ何かを特定できるものは
映っていない
普遍の時間
これを発見した作家のきらりと光った瞬間を想う
視線をそらすと窓から海が見える
そう
私はすでにその空間にいる
[護王神社]
夜明けの朝
ホテルの浴槽で身体を伸ばし
お湯に頭を浮かばせると
なんだかふんわり浮いて
心臓の音がドクドク響いた
日常の中に
アートがありふれているんだ
やっぱり今日も行こう
もう一度
昨日たどったものに会いたい
久しぶりの雨
夜明けのブルーは濃く
雨音と冷たい空気
あたりに漂う水の匂いが気持ちいい
ここは行かないわけないよね。
大竹伸郎のI 湯
by regenesis
| 2013-12-21 03:30
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